川柳入門(最終回)社会問題や政治に関してあなたのご意見は?

新聞やテレビの報道に接し、あなたはきっと喜んだり、頭に来たりすることがあると思います。それを5・7・5で表現したらいいのです。

例えば、私たちが日頃買っている食品類は猛烈に値上げされています。この値上げに対して「物価高スーパー梯子しメニュー決め」、タマゴが急騰しましたので「弁当の定番消えた玉子焼き」と詠っています。

国内政治では、ガーシー元議員は当選以来逮捕が恐くて議会を欠席「欠席を通す議員のイスが泣く」、福島の廃炉や汚染水が未解決なのに原発再稼働に対して「フクシマに学ばぬ国の無責任」と批判しています。政府が2万円のクーポンまでぶら下げて普及に努める、それも不完全なマイナンバーカードを「マイナカード瞬時あなたは素っ裸」と皮肉っています。

国際政治では、2014年のクリミア併合に加え昨年2月、ロシアのウクライナ再侵攻で東部4州も併合、ウクライナはそれを奪還すべく激しく抵抗「ヒマワリも立ち枯れします戦車跡」。

最近のマスコミ報道中には、明るい話題が少ないので、それを詠う川柳にはなかなかお目にかかりません。その数少ない中には、コロナ禍の時には不要不急の外出は慎もうと、「ベランダでキャンプ楽しむ若夫婦」や、コロナ禍明けでは、年寄り夫婦が久しぶりに道頓堀へ遊びに行き「腕組むと妻がうつむく戎橋」というほほえましい川柳がありました。

さあ、手始めに「健康の友」の川柳欄に投句してみてください。必要最小限の添削は喜んでさせていただきますから、少々自信がなくてもまず投句してみてください。

加山 勝久(健康の友川柳選者)

川柳入門(3)川柳のネタはあなたの周りにあります

新聞や雑誌の川柳を声を出して読んで見ると、「これなら私も作れそうだ」「私ならこんな風に詠むのに」と思うかもしれませんね。最初に取り組む川柳は、そのようにわかりやすい川柳でいいのです。

たとえば、今月号の川柳の兼題は「今さら』です。千舟の敬子さんは「今さらと言えどしている白髪染め」と詠みました。年も年だから白髪が増えるのは当たり前、何を今さら白髪染めをするの?と強がりつつも、やっぱりちょっとは美しくなりたいという願いも捨てきれず、白髪染めをしていると詠っています。

相手の立場や気持ちを思いやり、配慮する考えが浸透している日本では、ストレートに本音で話すことを避ける傾向にあります。佃のカズエさんは「家出して今さら帰る勇気ない」と、帰りたいのにそういえないことを詠っています。こんな心の葛藤は日常茶飯事ですので、川柳のネタになりやすいです。

豊中市の英夫さんは「『好きでした』今さら言うな孫笑う」と詠い、欧米人なら「愛しているよ」と気軽に言い合うのに、日本人は好きでもストレートに言わず、そんなことはわかっているだろう、孫が聞いたら笑う、と詠っています。

川柳のネタはあなたの周りに一杯転がっています。ぜひ、この新聞の川柳欄にある「兼題」を見て投句してください。

加山 勝久(健康の友川柳選者)

川柳入門(2)川柳を沢山読んでみましょう!

あなたが日頃思っていること、感じていることを5・7・5で表現してみませんか?と先月号で書きました。

でも「何をどう書けばよいのかわかりません」という人が多いですから、手はじめに他の人が詠んだ川柳をたくさん読んでみることをお勧めします。各種新聞・雑誌には川柳が載っています。しかし全国紙に載っている川柳はかなり凝ったものが多く、時事に関する川柳も日ごろから新聞で世界の情勢を読んで理解できていなければ意味が解らないかもしれませんから、「健康の友」や「いつでも元気」など身近な新聞・雑誌に載っている川柳などから読み始めるとよいと思います。

たとえば先月の「健康の友」には、18人の方が「混乱」という兼題で各自各様の混乱を思い出すか想像して詠んだ川柳が載っています。これらを見ると長い人生で誰もが経験する事ばかりで、あなたもきっと同じようなことを経験していることと思います。

あなたが思い出した過去に混乱したことでも、あるいはあなたが想像する混乱でも、難しい言葉ではなくあなたの言葉で5・7・5で表現すればよいのです。
茂夫さんは「レジの前お金出てこず汗が出て」と詠みました。スーパーのレジで財布をかき回して小銭を探している人を時々見かけます。レジを待つ人たちの無言のプレッシャーに汗を流している光景です。

加山 勝久(健康の友川柳選者)

川柳入門(1)感じたことを17文字に

感じたことを17文字に

あなたが日頃思っていること、感じていることを川柳で表現してみませんか?川柳は決して難しいものではありません。今月から4回連続して、川柳を詠む楽しさをシェアしたいと思います。

川柳は、5・7・5の17文字で詠う短い詩です。俳句も同じように17文字の詩ですが、対象は主に四季の自然であり、季節を表す「季語」を含まなければなりません。これに対し川柳はあなたの喜怒哀楽、あなたが感じた事を17文字の制約の中で詠えばいいのです。
毎月発行されている「健康の友」の4ページ目に川柳欄があります。特に話題を限定せずに思ったこと、感じたことを詠うのが「自由吟」といいますが、範囲が広すぎるので毎月題目を決めて詠んでもらっています。

ある時は「ついに」という題目で、茂夫さんは「定年です黙って名刺ゴミ箱に」と詠みました。ついに定年の日を迎え、得意先への挨拶を済ませ、引き継ぐ書類や文房具を整理し、最後に要らなくなった名刺をどさっとごみ箱へ捨てました、という人生の淋しさをしみじみと詠っています。

「我慢」という題目では、富子さんが「食事抜きやせてもすぐにリバウンド」と詠っています。何とか痩せようと御飯も軽く一杯にして、好きだったケーキも食べず、やっと体重を落としたのに、安心して食べたら元の木阿弥になりましたとのこと。

加山 勝久(健康の友川柳選者)