大阪におけるPFAS汚染と健康を考える

1193人の大規模血液検査を実施

検査結果は高い値示す

2023年11月11日に「大阪PFAS汚染と健康を考える会」が発足し、ダイキン工業淀川製作所の地元摂津市で血液検査を行ったのを皮切りに、10月〜12月の間に49会場で1193人の方が血液検査を受けられました。
淀協では、摂津会場を含めて12医療機関で20回、536人が検査を受けられました。ダイキン工業の近くで野菜を作っておられる方、元ダイキン工業に働いておられた方、この地域に居住されている方など日ごろ、高い濃度の汚染に不安を抱えている多くの住民が検査会場に来られました。

9月と10月に摂津市などで行った血液検査118人分の分析を行った、原田浩二 京都大学大学院医学研究科准教授の報告は衝撃的で、MBS、ABC、NHKなどのマスコミも報道しました。検査を受けた方のうち摂津市民80人中、米国科学アカデミーが出した臨床ガイドラインの20ng/mLを超えた方が31人(44%)、極めて高い値を示しています。(ng:ナノグラム)

※ 表中のラインは、米国科学アカデミーの 臨床ガイドライン20ng/mLをしめす。

受検者全員に結果を送ります

1193人の検査結果は、今後、各受検者個人に対し封書で結果が届き、20ng/mL以上の方には「PFAS相談外来」(予約制)への受診を進めることを予定しています。

この11月に開催されたWHOがん専門機関IARCは、PFASに関する発がん性についての最新評価を行い、PFOAについて「人への発がん性がある」とし最もランクの高い「グループ1」に分類しました。国際的な評価が出されましたが、国(環境省)は「知見がない」としてだんまりを決め込んでいます。

「会」として、今回行った検査の分析、IARCの最新の知見などを踏まえた学習会開催や記者会見を行うとともに、ダイキン工業や国・府・市に対し、環境対策や住民への情報公開、健康管理を行うことを求めていくなどの運動をすすめていく予定です。

PFAS汚染、健康問題に立ち向かおう

PFASは、アスベストや低線量被ばくなどと同じように、直ちに健康被害が出現するものではないかもしれません。しかし、長期間体内に蓄積され続けることで免疫機能に悪作用し、将来にわたって多くの健康被害が出現する可能性があります。この問題はまさにSDHに基づくヘルスプロモーション(HPH)のとりくみそのものです。

私たちの先輩が、過労死問題や西淀川公害など健康の社会的問題に正面から向き合ってきたように、私たちが今、この汚染と健康問題に立ち向かうことが求められているのではないでしょうか。
そのためにも、医師をはじめ全職員、健康友の会会員と住民が一緒になって繰り返し〝学習し、調査し、行動する〞この姿勢で臨むことが大切だと強く思います。継続的な運動への参加を促すために「会」への団体・個人の入会を呼びかけています。ぜひこの機会に入会ください。

公益財団法人 淀川勤労者厚生協会
副理事長 長瀬 文雄


* PFAS(ピーファス)(有機フッ素化合物)
水や油をはじく、熱や薬品に強いなどの性質から、フライパンや鍋のフッ素樹脂加工などの生活用品や泡消火剤などの工業製品に広く使われてきた。
分解されにくく蓄積しやすいため「永遠の化学物質」と呼ばれている。工業や軍事基地から排水と共に放出されたPFASは、長く環境中に残り、地下水や河川水から水道水などを通じて人の体内に取り込まれ、健康被害や発がん性の恐れがあり、世界的に規制が強められている。

*SDH…健康の社会的決定要因
*HPH(ヘルスプロモーションホスピタル)…健康増進活動拠点病院


■マスコミ各社の報道

PFAS汚染の実態身体への影響は?…クローズアップ現代|NHK(youtube)

『発がん性疑い物質』市民の血液や川から検出… |MBS

人体への影響指摘「PFAS」…|朝日放送