集団予防接種によるB型肝炎罹患でお困りの方へ!その2

国から救済が受けられるかもしれません

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一次感染者の方の提訴条件

一次感染者の方がB型肝炎給付金を請求するためには、以下の支給条件を満たす必要があります。

① B型肝炎ウイルスに持続感染していること

持続感染とは、6ヶ月以上離れた2時点においてB型肝炎ウイルスに感染していることが確認できることをいいます。この確認のために血液検査結果を提出いただいています。患者さん本人がお亡くなりになっていて、血液検査結果が残されていなかったとしても、カルテや死亡診断書の記載を根拠に、生前の持続感染が認められる例もあります。

② 満7歳までに集団予防接種を受けたことがあること

幼少期(満7歳まで)に集団予防接種を受けたことの確認が必要となります。この確認は、母子手帳の記載から行うことが確実ですが、母子手帳が残されていない場合には、幼少期の予防接種状況などを説明することなどで確認を行っています。

③ 生年月日が昭和16年7月2日から昭和63年1月27日までの方

この裁判で国に損害賠償責任が発生するのは、標記の期間において集団予防接種を受けた方に限られています。そのため、それ以外の期間に生まれた方は、一次感染者としてB型肝炎給付金の請求を行なうことはできません。

④ 母親からB型肝炎ウイルスに感染した可能性がないこと

出生時にお母様からB型肝炎ウイルスを感染(母子感染)した可能性がないこと、つまり、お母様がB型肝炎ウイルスに持続感染したことがないことを確認する必要があります。この確認はお母様の血液検査によって行いますが、お母様が死亡により血液検査結果を提出できない場合には、年長のごきょうだい(兄姉)の血液検査によって行います。

お母様と年長のごきょうだいがご健在でない場合も、お母様もしくは年長ごきょうだいの生前の血液検査が残されていれば、B型肝炎給付金の請求が認められることがあります。

⑤ 他の感染原因によって感染した可能性がないこと

集団予防接種以外に感染原因がないことを説明するために、ご本人様にジェノタイプ検査という血液検査を受けていただくことがあります。また、父子感染の可能性を否定するために、お父様の血液検査結果を提出いただいています(お父様がお亡くなりになっている場合には不要)。
他にも、幼少期(満7歳まで)に輸血歴があることが確認できる場合には、B型肝炎給付金の請求が認められなくなることもありえます。

私たち民医連は、以上の支給条件で要求される血液検査や接種状況の証明に関して、原告団・弁護団と連携して積極的に協力するとともに、少しでも多くの支給条件を満たす方に向けて周知を行っています。

二次感染者の方の提訴条件

二次感染者の方がB型肝炎給付金を請求するためには、以下の支給条件を満たす必要があります。

① お母様が一次感染者の支給条件をすべて満たしていること

前提として、お母様ご自身が一次感染者としてのB型肝炎給付金の支給条件をすべて満たし、B型肝炎給付金を請求することが可能であることが必要となります。

② B型肝炎ウイルスに持続感染していること

この点は、一次感染者の場合の支給条件と同じです。

③ 母子感染したことが確認できること

二次感染を理由に提訴する場合は、お母様から感染したことが前提となります。

この点の確認方法としては、①お母様とB型肝炎ウイルスの塩基配列検査を受けていただく方法、②医療記録から出生直後の感染を確認する方法、③母子感染以外のルートによる感染の可能性がないことを確認する方法があります。

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集団予防接種によるB型肝炎罹患でお困りの方へ!

国から救済が受けられるかもしれません

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はじめに

大阪民医連では、幼少期に受けた集団予防接種が原因で、B型肝炎ウイルスに感染された方が、国からの給付金が受けられるよう支援を行っています。

以下の要件に該当する方、その可能性がある方は間違っていても結構ですので、お気軽にお問い合わせください。

電話:06-6268-3970

担当:別所・大隅

全国B型肝炎訴訟大阪弁護団

B型肝炎とは

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスの感染によって起こる肝臓の病気です。成人がウイルスに感染した場合、成人には免疫力があるので、一時的に急性の肝炎を発症することはあっても、そのほとんどが治癒してしまい、以後、再び感染することはありません。

一方、乳幼児がウイルスに感染した場合、免疫力がきわめて弱いため、ウイルスが肝臓に留まったまま感染状態が持続してしまいます。そして、このような持続感染状態の乳幼児が成人になると、ウイルスと免疫の共存状態が崩れて慢性肝炎を発症し、さらには肝硬変、肝がんと進行することがあります。

B型肝炎ウイルスの感染経路は?

B型肝炎ウイルスは、主に血液を介して感染します。乳幼児期に持続感染した場合の感染経路としては、出生時に母親から子どもに感染する垂直感染(母子感染)と、注射器(針・筒)の使い回し、輸血等を原因として感染する水平感染があります。

ただし、母子間感染阻止事業が開始された昭和61年以降は、母子感染はほとんどみられなくなりました。また、日常生活の場でB型肝炎ウイルスに感染することはほとんどありません。

集団予防接種でB型肝炎ウイルスに感染した理由

日本では、幼児を対象とする集団予防接種が、明治時代のころから行われてきました。その際、注射器(針・筒)は、1人ごとに消毒や交換されることなく、数人に連続して使用されてきました。

B型肝炎ウイルスは血液を介して感染するので、当該集団の中にウイルス感染者がいた場合、注射器を連続使用すれば、ウイルス感染者の後に注射を受ける人は、注射器に付着した感染者の僅かな血液によって、ほぼ確実にウイルスに感染してしまうことになります。

なお、このような注射器の連続使用は、使い捨ての注射器が普及する昭和63年ころまで続いたといわれています。

注射器(筒・針)を消毒せずに連続使用することが、種々の感染症の原因となることは戦前から常識とされ禁忌とされていました。にもかかわらず、「1人ごとに注射器(筒・針) を取り替える」という僅かな手間とコストを惜しむなどの理由から、国は集団予防接種における注射器(筒・針)の連続使用を放置し続けました。その結果、我が国にB型肝炎が蔓延してしまったのです。

B型肝炎訴訟の提起と最高裁判決

平成元年6月、北海道のB型肝炎患者5名が、B型肝炎ウイルス感染は、幼少時に行われた集団予防接種の際の注射器の連続使用が原因であるとして、集団予防接種を実施した国に対し、損害賠償を求める裁判を起こしました。

平成18年6月16日、最高裁判所は、国が集団予防接種を行うにあたっては、注射針及び筒の1人ごとの交換と徹底した消毒の励行等を指導して、B型肝炎ウイルス感染を未然に防止すべき義務があったのであり、これを怠った国には過失があるということを認めました。

その上で、因果関係についても、集団予防接種等における注射器の連続使用によって、B型肝炎ウイルスに感染したというべきであるとして、原告らの請求を認める判決を下したのです。

全国におけるB型肝炎訴訟の集団提起

上記裁判を起こした原告団・弁護団は、最高裁判決後、厚生労働省に対し原告以外の患者の救済を求めて交渉を行いましたが、原告以外の救済対策はとられないまま放置されてきました。そこで、平成20年3月以降、国の責任を明らかにして患者の救済を行うために、全国でB型肝炎訴訟が提起されました。

基本合意と特別措置法の成立

全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団は、集団予防接種によりB型肝炎ウイルスに感染した患者が迅速に救済を受けるべく、厚生労働省前での座り込みなど大きな運動を展開してきました。

そして、民医連は、原告団・弁護団の運動を継続的に支援してきました。その結果、平成23年6月には、全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団が国と協議した結果、国が損害賠償に応じるためのルールを定めた「基本合意」が成立しました。

この「基本合意」の成立によって、所定の賠償条件を満たした方については、B型肝炎訴訟に参加し国に必要資料を提出することによって国が損害賠償金の支払に応じることになりました。

さらに、平成24年1月には、国会で「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」(B型肝炎特措法)が成立し、これによってB型肝炎訴訟の中で訴訟上の和解が成立した方に対しては、国が「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金」(B型肝炎給付金)の名目で賠償金を支払うようになりました。

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