報酬改定 どうなる? 医療・介護(中)

自宅で暮らす命綱 ヘルパーさんがいなくなる?

訪問介護事業所がなくなったら
住み慣れた家で暮らし続けられない

介護報酬改定では、訪問介護(ヘルパー)の基本報酬が引き下げられました。これまでも訪問介護事業所は経営難・人手不足が深刻です。この引き下げで、ますます人材の確保ができず、経営難から倒産・廃止に追い込まれる事業所が増加するのではと不安の声が広がっています。

身体介護、生活援助などの訪問介護は、要介護者の在宅での生活を支えるうえで欠かせません。地域に訪問介護がなくなれば高齢者や障がいのある人が住み慣れた自宅で暮らせなくなります。

欠陥だらけのマイナ保険証

ゴリ押し止めて

 政府は、今の健康保険証を今年12月に廃止する方針で、「マイナ保険証」の利用を促し、マイナ保険証の利用率が向上した割合に応じて支給額を増加させるインセンティブ補助金を開始しています。しかし利用率は5・47%(3月)とまったく伸びていません。さらに厚生労働大臣は、5月から7月までの3か月間、集中的に利用促進を図る期間として、チラシを配布するなどして利用者を増やした医療機関に対し、最大で20万円を支給する方針を明らかにしました。

トラブル事例が尽きない「マイナ保険証」。今回の改定で、新しく「マイナ保険証」の利用などを条件に新設される「医療DX推進体制整備加算」は、従来の保険証を提示した患者さんからも、医療機関、調剤薬局でそれぞれ窓口負担金が追加されてしまいます。医療機関や保険薬局には「にんじんをぶらさげ」、患者さんには負担を押し付ける「欠陥だらけのマイナ保険証」ゴリ押しは許されません。

報酬改定どうなる? 医療・介護(上)

2024年度の診療報酬改定の内容が固まりました(6月1日実施)。
公的保険の医療の価格を定めるもので、医療機関にとっては収入を左右します。物価高騰や賃上げのために大幅引き上げが求められていましたが、逆にマイナス改定となっています。

いざという時入院できない?

改定内容も医療費削減を狙うものとなっています。一つは発症間もない急性期に対応する病床の削減をすすめることです。看護師の配置が最も多い「7対1病床」(入院患者7人に看護師1人以上)の対象者の条件を厳しくし、平均入院日数も2日短くして「16日以内」とします。対象にならない人や16日を超えた患者は退院を迫られたり、病気の治りにくい高齢者は入院も敬遠されることになります。中小病院の2割で急性期病床が維持できなくなるとの指摘もあります。感染症の流行などに備えた体制確保というコロナ禍の教訓に逆行します。

近くの診療所が経営難に?

二つ目は、診療所を中心として報酬を引き下げることです。とくに糖尿病、高血圧、高脂血症の三つの慢性疾患の診療報酬が大幅にカットされます。こうした基礎疾患をしっかり手当てしてこそ大きな病気は防げるとしてきたものを削減します。発熱外来などコロナ感染で役割を発揮した診療所に大きな影響を与えます。「入院から在宅へ」をすすめながら在宅医療の役割を担う診療所の収入減が危惧されます。
また、欠陥だらけのマイナ保険証の普及役を医療機関にやらせようとマイナンバー保険証の利用などを条件に初診料に80 円の加算を新設することも問題です。
軍事費や万博など税金の使い方を改め、医療機関にも患者にも犠牲を押しつける診療報酬のマイナス改定を見直すことが必要です。

次号に続く