患者から西淀病院事務長に

「ムチウチ症」の調査をするうちに

私は元々患者でした。交通事故で東神戸病院に入院した時、「西淀病院に『ムチウチ』をよく診てくれる先生がいる」と紹介されて西淀病院を受診してみると、評判を聞いて次々に患者さんが来院されていました。患者同士で話をするうちに、共通する事項や問題があることに気づきました。

「むちうち症」を発症する際の事故の状況、どんな治療を行ったか、その効果はどうか、療養期間中の困難(経済的、精神的、仕事、家族関係など)を患者さんたちに聞きまわり、まとめて主治医に渡しました。すると「これは貴重なデータだ。もっと聞いて集めてくれ」と言われ、外科の窓口で職員として働くようになり2000人くらいの調査をしました。1967年の事です。医師や検査技師とともに、資料をまとめて学会や民医連の研究集会などで発表しました。

また、運送会社・タクシー会社を訪問し、安全な労働環境づくりなど予防対策や発症後の生活保障の問題などに、会社や労働組合と一緒に取り組みました。これらのとりくみは、キーパンチャーなどの労災・職業病の問題に広がり「労災職業病学校」、さらに「社会医学研究所」開設につながりました。
その後、当時の西淀病院の事務長が病気で退職することになり「後は頼む」と言われて、西淀病院が野里へ新築移転するまで事務長を務めました。

建て替え中の診療所で阪神大震災

1994年、建て替え計画がすすめられていた千北診療所に異動。地域を知るために当時健康友の会会長だった出畑さん(故人)と一緒に地域を歩き往診について行き、勤務後も路地を歩きました。半年後の1995年1月、阪神大震災が発生、(仮)千北診療所は液状化、外壁が落下、廊下はかまぼこ状になる惨状でした。私自身も西宮で被災、家族は西宮中央体育館で避難生活、自分は診療所の近くで風呂に入って寝泊まりする生活をしました。

2000年に退職しましたが、2003年に大腸がんの手術をして現在は全国オストミー協会の兵庫の役員をしています。健康友の会では西淀うちの支部で「喫茶元気」の運営をしています。

さらに頼られる健康友の会に

健康友の会は当初は病院や診療所からの受け身の会であったように思いますが、現在は独立した組織として地域の中で存在感を示しています。さらに地域に頼られる会になってほしいし、そういう先進性を元々持っている会であると思います。

元職員・西淀うちの支部世話人
塩川和夫

赤ちゃんからお年寄りまで安心して生活できる地域に、人生に寄り添う診療所に

健康の友500号おめでとうございます。

長きにわたり千北診療所の所長としてご尽力いただいた山口利之先生から2023年10月、所長を引継ぎました。2019年、千北診療所は50周年を迎え、今年10月に50周年記念誌が完成いたしました。地域のみなさんの切実な思いと運動から、千北病院として創設された歴史を知り心が熱くなる思いです。

私は、2013年に千北診療所の外来を開始、2017年に副所長となり山口所長、スタッフと共に近隣の診療所や病院、地域の介護事業所を訪問したり、医師会活動に積極的に参加したり、認知症サポート医として相談窓口になったりと、家庭医として診療所の診療の幅を広げることに努力してまいりました。2020年新型コロナウイルス感染症の未曾有の事態の中、スタッフ全員で話し合い、西淀病院と連携し役割分担しながら、立ち向かってきました。

私の専門は家庭医・総合診療医です。病気の背景にある問題を重視しながら、年齢・臓器・疾患を問わず、地域社会に生きる一人ひとりと寄り添い、共感しながら日常よく遭遇する健康問題に対して、多疾患併存や心理社会的な問題も含めて、家族との関係性も重視しつつ、包括的に対応できる力が必要になります。また、新型コロナ感染症との闘いで、あらためてかかりつけ医の役割が重要であることが再認識されています。

千北診療所が赤ちゃんからお年寄りまで、誰もが住み慣れた地域で安心して生活ができるよう、そして患者さんの人生にずっと寄り添える「かかりつけ医師、かかりつけ診療所」として役割が果たせるよう、職員とともに頑張っていきたいと思っています。

千北診療所
所長 野口 愛

いのちと健康を守り安心して住みつけづられる街づくりの活動を共に

「健康の友」500号おめでとうございます。46年の長きにわたり、西淀川・淀川健康友の会の機関紙として大きな役割を果たされてきたことに、あらためて敬意を表します。この間、事業所と健康友の会の会員をつなぐのみならず、会員同士の交流にとっても大切な場だったと思います。

淀協は、法人合同に伴い大きな組織となりました。それぞれの地域の健康友の会との相互交流も深めていただければ、さらにいっそう発展することと思います。今後も、淀協の理念でもあります、いのちと健康をまもり、安心して住みつづけられるまちづくりの活動にともに歩むことを期待します。

淀川勤労者厚生協会
理事長 小松 孝充

「健康の友」500号に-記念企画にご応募を

創刊から46年
-地域に根ざし、愛される新聞に-

「健康の友」は今号で500号を迎えました。
「健康の友」創刊号は1977年(昭和52年)10月1日の発行、一面トップには、西淀病院の移転新築(1979年8月竣工)を知らせる記事、見出しは「募金3億円突破『友の会』会員1900人に」でした。「新病院へ高まる期待」の記事では、地域・会員の声が寄せられています。

「御幣島T・Hさん:西淀病院は私達の病院、そして働く者の病院としていつでも気軽に安心して利用できる病院として、もっともっと大きく成長してほしいと思います」。地域の思いが詰まった新病院建設であったことがわかります。

また、藤本英夫淀川勤労者厚生協会理事長(当時)は「発刊にあたって」として、「会員・職員、地域のパイプ役を果たす「健康の友」が発刊…地域に根ざした新聞としてみなさんに愛され発展するように」と述べています。この基本方針は今も変わらず、さらに地域に根ざしていきたいと思います。

500号に至る約46年間の発行を支えた方、配達のご協力をいただいた方、また様々な分野の連載など担当された方々に心から感謝しつつ、今後もご協力ご指導を心よりお願いいたします。
また、500号を記念して下記の企画を予定しております。

記念企画にご応募を

①手記、レポートなど(形式自由)の文章を募集
テーマ
「私と健康友の会(健康の友)」
「今後の健康友の会(健康の友)への希望」
*編集部で選考の上、「健康の友」に順次掲載する予定です。

②クイズの正解者への賞品贈呈の人数を、通常5人のところ10人に
(第478回クイズ・9月10日必着)
*奮ってご応募いただきますようご案内いたします。

「健康の友」第1号(1977年10月1日付)