天災が忘れてないのにやってくる

台風シーズンを迎え、水害への備えはできていますか?

台風第21号のことを覚えていますか?

 2018年台風第21号は、9月4日に大阪を襲った最大瞬間風速58.1mの「非常に強い勢力」の台風です。四国から近畿地方を通過し日本海に抜ける経路で、各地で屋根や窓ガラスの破損、街路樹や電信柱が倒れ、大規模な停電など多くの被害が発生しました。

2018年9月・台風第21号で倒れた木々(大野川緑陰道路)

地震と違って台風や水害は接近が分かるので事前に対策がとれる、のが特徴です。最近は、1週間前ぐらいから天気予報やニュースなどで台風の経路、規模などの予測が示されます。「ベランダの荷物を片付ける」とか、「窓ガラスを補強しとこう」とか、「停電になった時のために備蓄をしとこう」とか、「家族との連絡方法を決めておこう」とか、「うちは不安なので親戚の〇〇さん所に事前に避難させてもらおう」とか、過去の経験を思い出しながら事前に対応することでリスクを減らすことができます。

「自分は大丈夫」と想定しないで

 とはいえ、災害時は想定外のことが起こりえます。最近は、短時間に同じ場所に雨が多量に降り続ける「線状降水帯」が発生し、想定を超えた被害が各地で発生しています。大阪でもこうした集中豪雨が発生すると排水処理が間に合わず、浸水被害が発生する可能性があります。台風の場合も強風だけではなく、高潮を伴って大きな被害をもたらすことがあります。大阪湾岸では、室戸台風(1934)、ジェーン台風(1950)、第二室戸台風(1960)など、昔は台風と併せて高潮による水害が発生していました。現在は防潮堤の整備などで大きな水害は起こりにくくなっていますが、大阪府が最近(2020年8月)発表した高潮浸水想定(想定し得る最大規模の高潮を想定等)では、西淀川区・淀川区では5~10m、一週間以上浸水する区域があります。「自分は大丈夫」と思いこまないで、想定外を想定しておくことが大切です。

周りの人と一緒に考えてみましょう

 これから9~10月は、台風の発生が多い季節です。大阪市が発行している水害ハザードマップ(被害想定図)をみながら、自宅周辺の被害想定を眺めてみてください。西淀川区を例にとると、神崎川・高川・天竺川が氾濫した場合(2020年1月見直し)は、「3.0~5.0m」浸水想定の地区がありますので、建物3階以上に避難する必要があります(前述の高潮浸水想定5~10mの場合は、建物5階以上に避難となります)。

水害ハザードマップ(神崎川・高川・天竺川が氾濫した場合・西淀川区):大阪市HPより クリックで拡大

建物が無事であれば、そのまま在宅避難を続けることになりますが、水・食料・トイレなどの備えが重要です。電気が止まれば、明かりが無くなり、エレベーターが使用できなります。家にあるものをいろいろ使いながら1週間程度乗り切れるように考えてみてください。持病のある方は薬の確保、情報収集のための携帯電話の充電、新型コロナ対策のマスクや消毒などなど。一人で考えるとなかなか続かないので、ぜひ家族や周りの方々と話すことから始めてみてください。

※あおぞら財団が事務局を務める「にしよど親子防災部」では、いざという時のために、普段の生活の中でできるヒントをまとめた「おやこぼうさいブック」を作成・配布していますので、ご活用ください。

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あおぞら財団事務局長 藤江徹