今回は野里住吉神社の「一夜官女祭」について、6歳のころに一夜官女に選ばれた今村久美子さんと共に神社に伺いお話を聞いてきました。
「一夜官女祭」(大阪府無形文化財)は毎年2月20日(旧暦1月20日)に行われています。かつて野里村は「泣き村」と呼ばれ風水害や疫病に見舞われた時代があり、村人たちは「村を救うために乙女を神に捧げよ」という神託を聞き、「旧暦1月20日に白矢の打ち込まれた家の娘を生贄として神に捧げた」そうです。
村を通りかかった武者修行中の岩見重太郎が「神は人を救うが人に犠牲は求めない」と述べて乙女の身代わりになり、神のふりをしていた狒々(ヒヒ)を退治したという話が伝わっています。(なお、かつて乙女たちが運ばれた場所は社殿裏の「龍の池」で、その池は現在は埋まり、跡地に乙女塚が建てられています。)
現在も一夜官女に選ばれた7人の少女とお付きが、その年の「宿」で当矢の式(親子の別れの盃)を行い、その後に街を練り歩いて神社へ向かいます。今村さんもお化粧をしてもらい、白い着物に赤い袴を着け、頭にキラキラ輝く冠をのせてもらった思い出を語ってくれました。
とても寒い日で着物が風にあおられフラフラして歩き、神事の時も冠が傾いてきて寒くて震えていたそうです。由来は悲しい歴史の御神事ですが、今は地域の安全と幸せを願う華やかな祭事になっています。