お口の健康 第2回「歯を失うと、転倒リスクが高くなる?」

お口の健康について

高齢者において「噛み合わせ」と転倒の関係はどうでしょうか?図は、認知症高齢者の噛み合わせの有無と転倒回数です。奥歯がなくて噛み合わせが出来ない人は1年間の転倒回数が多く、自分の歯でしっかり噛み合わせが出来る人は、転倒回数が少ないという結果です。

寝たきりになる原因は脳卒中が一番多く、二番目が転倒による骨折です。それで歩けなくなって、そのまま寝たきりになるというパターンが多いのです。左右の奥歯でしっかりと噛める人は転倒が少なく、寝たきりになりにくいと思われます。

「噛むこと」、つまり咀嚼中は大量の感覚情報が脳に流れ込んでいます。脳はそれにもとづいて指令を出すので、常に働き続けでいます。「噛む」と脳が活発に働くということが言えるわけです。あれこれ考えなくても「ただ噛むだけ」で脳が活発に動いてくれる。脳は働らかなったら衰え、働かせることによって維持できるのです。

「歯が抜けずに残っている」人は、定期的なクリーニングを継続して受けている人です。クリーニングを行った歯は、歯磨きが非常にやりやすくなり、虫歯や歯周病の進行を抑えることができます。口の中の疾患も早期に見つけてもらえ素早い対応が可能になります。3か月に1度くらいの割合でクリーニングのために歯科受診をしている人は、歯が抜けにくいということになります。