いっしょに歩こう「淀川区三国編」

戦争で移転した長教寺

西三国の住宅街にあります

今回は、淀川区西三国のファミリークリニックあい近くにある長教寺さんを、ふれあい三国支部世話人の前背戸由佳さんと訪ねました。阪急三国駅東口を出て、商店街を東に進み、スーパーの角を北に曲がると長教寺さんがあります。

長教寺の開基年代は不詳ですが、記録によると、1685年には現在の大阪駅前第2ビルあたりにお堂があったそうですが、1945年の大阪大空襲で灰燼に帰しました。出征していた先々代のご住職が復員されたのち、檀家の尽力もあり1952年に西三国の地に移転、その後1965年に本堂を再建し現在にいたります。ちなみに、本堂の中のご本尊と「お軸じく」は戦争末期に、茨木市に疎開しており難を逃れたそうです。

戦没者を弔う碑

このお寺で最も目を引くのは、その境内にある多くの個人碑と、「忠霊」と書かれたひときわ大きな石碑です。これらは、太平洋戦争で三国地域より出征し亡くなった方を弔うためのもので、個人碑の1つ1つに、お名前、戦死日、戦死場所、亡くなった時の年齢が記されています。
個人碑は130基あり143人の名前が記されています。そして忠霊碑では247人の方が合祀されています。

1つ1つの碑にお名前が

三国地域遺族会は、大阪市の遺族会よりも早く、1946年8月に結成されました。その後、先々代のご住職が協力され境内の一画を無償提供することになったそうです。

ひときわ目立つ「忠霊」の碑

本来、浄土真宗では国家の命令によって命を奪われた軍人のみを弔うという考え方はないそうですが、自らも出征した先々代が亡くなった方の悲嘆を思い、碑の建立に協力されたとのこと。三国地域遺族会は活発に活動されていましたが、高齢化の影響で2015年に解散。長教寺が永代供養を引き受けられ、今でも毎年8月15日に法要をあげられています。

想像することが大事

長教寺では、昨年9月末に西淀川・淀川健康友の会ふれあい三国支部主催の「平和を考えるつどい」を開かせていただきました。今回改めてご住職にお話をうかがうと「戦死された方にも苦悩があったと思う。口が裂けても『死にたくない』と言えなかった時代。心の中ではどのように思っておられたことか。想像することが大事」とお話しくださいました。

平和を考えるつどい

長教寺は、朝8時から午後5時まで開門されており、開門中は誰でもお参りできます。静かな住宅街の石碑の前で、戦争の悲惨さと平和の尊さを思いながらお参りされてはいかがでしょうか?